和泉愛依のこれまでをまとめる[1]

はじめに

 暫くぶりに文字を書く。今回再びキーを叩いている理由は、先日ある友人がシャニマスのStraylightのイベントを見るという場に相席した。その際に以前、ある場所でプレゼンした和泉愛依の軌跡をもう一度見直し、しっかり書き残しておこうと思ったのである。今日が文化の日ということもあり、久しぶりにやろうと一念発起したのが午前6時だったはず。しかし今現在日は沈み、時計の針はまもなく午後9時を示そうとしている。光陰矢のごとし。

 そういうわけで書き始めたものの、全てを網羅して書き上げる頃にはもう日付も変わってしまうかもしれないという危機感のもと、まず第一弾を書き記す。

 今回は、Wing~ファン感謝祭までの和泉愛依の言動から彼女の状況を読み解いていきたい。多くは事実の列挙であり、一時期流行ったいわゆる怪文書のような類いのものとは毛色が違うだろう(そうであってほしい)。また、あくまで和泉愛依の言動に着目していくため、イベントコミュ等で触れない部分も多い。そういった部分は今シャニマスでイベントコミュ全編が期間限定で無料公開されている(2021/11/03現在。)のでそちらを見てほしい。また、画像サイズが無駄にでかい

 それでは、綴っていく。

 

メインシナリオ:Wing編

「アイドルなんて可愛いの似合わない」という彼女に「君ならいける」と口説き、スカウト成功。その後、彼女は過去の出来事からステージ上で固まってしまう。このままではアイドルとしてやっていけない。なんとか克服しようとするも、MCでどうしても硬くなってしまう彼女にプロデューサーはある作戦を持ちかけた。ステージ上で固まって喋れなくなることを逆手にとって、クールでミステリアスなキャラの「アイドル和泉愛依」を示したのだった。その作戦を胸に舞台に向かう彼女はこう言った。

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そう彼女は自分のためよりも、他人のために頑張れる女の子である。

 

 

イベントシナリオ:Straylight.run()

 このイベントシナリオの基本構造は、好きなことを突き詰めていく過程でアイドルになった芹沢あさひと、誰にでも愛されるアイドルになろうとした黛冬優子の交流である。

 その二人に遅れて合流した最後のメンバーが和泉愛依だった(第2話:ENTER MEI)。このStraylight.run()というシナリオにおいて、和泉愛依はあさひと冬優子の仲間というより、あさひと冬優子のファンに近い立ち振舞いを見せる。たとえば、第3話:SING ITでは手違いで屋上ライヴに観客が集まらない事態に遭遇すると、彼女を真っ先に呼び込みに向かった。彼女を突き動かす衝動はただ一つ。

「せっかくの2人のステージだもん、色んな人に見てもらいたい」

 これは直後に冬優子に指摘されていることだが、この発言からはStraylightのライヴ、その舞台に和泉愛依は存在していないことになっていることが読み取れる。つまり、和泉愛依は自らをStraylightの一員だと思っていないことが示唆されている。

 

 では、なぜ和泉愛依はStraylightのメンバーとして名を連ねているんだろうか。ここまで明確には語られていない。しかし第4話にはとても目を引くあさひとのやりとりがある。

 あさひが愛依に対し、何度も練習してもどうして覚えられないのかと、半ば挑発や嫌味として受け取られかねない問いを投げかけた。その時、愛依は笑いながら、その8限を受け止め、諭すように「個人差があること」を伝え、その言葉にあさひも自分に重ね合わせて納得していた。

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 そして、あさひにとって愛依以上に理解できなかったのが冬優子だった。冬優子のスタンスに対する不満をあさひは愛依にこぼした。それを聞いた愛依は先ほどと全く違う反応を示した。笑ってなどいなかった。彼女は眉を八の字にして、こう言った。

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 自分に向けられた言葉と、(尊敬する)第三者に対する言葉で態度が異なるというのは、彼女が言葉に対して鈍感ではないことの表れではないだろうか。決して彼女はいわゆるちくちく言葉を笑って流すだけのキャラクターではないのだと。ここまで、なんとなくアイドルになった和泉愛依はひたすらに2人の後塵を拝する一般人Aという様子だったがここで少し彼女の「らしさ」が垣間見えた。

 そして、彼女がStraylightに必要な理由が仄めかされるのが第5話:FALSEだ。ここで愛依は冬優子にイベントで2人の足を引っ張らないための助言を求める。しかし、その助言に異を唱えるあさひ。ここでもあさひと冬優子の主張は平行線である。険悪な空気が漂い始めたその時、断ち切ったのが愛依だった(以下、発言より一部抜粋)。

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 どちらが良いではなく、自分にない点を持つ2人がすごくて、できることを取り入れるという結論で悪くなりかけた議論を終息させた。彼女は1枚目のPSSR[ちょっとあげる〜]のコミュでも語っていたように、どちらかをヒイキすることには抵抗感を持っているようだ。優先順位をつけられない優しさに由来するこの事態収集能力はStraylightが形を保ち続けるには必要だということなのだろうか。つまり、和泉愛依はStraylightにおける「緩衝材」のようなものだと。

 

 

メインシナリオ:ファン感謝祭

 このシナリオは、主に先に売れたあさひと、遅れをとった冬優子と愛依の距離感から生まれるすれ違いに焦点が当たっている。このシナリオで特徴的な愛依の言葉を挙げてみる。

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  ファン感謝祭のシナリオ全体を通して、愛依の言葉には「足を引っ張らないように」のような言葉が多い。ここではさらに「せめて」が修飾語としてかかっている。「せめて」とは、「最小限の願望」を示す(引用 旺文社国語辞典 第十版)。ここからは自分は2人よりもかなり遅れをとっているんだから、並び立つことは無理でも、悪目立ちしないようにしようという、諦めに似た感情でユニット活動をしていたことが察せられる。そうであれば、研鑽を怠らないあさひ、冬優子に並ぶなど夢のまた夢ではないか。和泉愛依はこの瞬間まで、自身を傍観者のように考えていたのではないか。そうであれば、今まで蚊帳の外だったことにも合点がいく気がする。上記の台詞をきっかけとして、彼女自身がStraylightとしての自覚を持って今後アイドル活動を行なっていくことは自明である。つまり、和泉愛依にとってのファン感謝祭シナリオは、彼女にStraylightの一員であるという自覚を持たせる役割だったと考えられる。

 

そして、感謝祭でMVPを勝ち取った時、彼女は集まったファンに向かってこう言った。

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 これは、ようやくぽっと出の一般人からstraylightの一員としての自覚が生まれた和泉愛依の覚悟だろう。

 しかし、彼女にはまだ大きな問題が残ったままだった。

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うち「みたいなの」がアイドルやれてるの、「ぜーんぶ」プロデューサーのおかげ

 

続く